★作詞家・阿久悠さんの訃報に接して
「大人のシンガー・西郷輝彦」を作った立役者でもあった、作詞・作家の阿久悠さんが8月1日早朝、病気療養中だった都内の病院で亡くなられました。70歳でした。5000曲とも言われる歌謡曲の作詞活動の中には「真夏のあらし」、「情熱」などといった西郷輝彦の70'sを華やかに彩る代表作品も含まれており、縁の深い方でした。1日午後、訃報に接した西郷は絶句したまま言葉を発することができないほどショックを受けていました。
阿久悠さんとの出会いは自著「生き方下手」(KKロングセラーズ)にも記されているように、英国のロックシンガー、トム・ジョーンズを目指した1970年の「真夏のあらし」からです。西郷自身が書いた企画書を元に、阿久さんはそれまでの西郷の代名詞であった「星」・「夢」・「恋」・「月」などの甘いイメージとはかけ離れた詞を書きました。それに川口真さんがロックリズムのメロディをつけ、大成功に導いたことはファンの方なら周知のことと思います。
★眩い光を放った70's SAIGOの立役者
当時、イメージの大きな変化を模索していた西郷と、新進作家でもあった阿久さん、川口さんとの組み合わせは緊張感あふれる関係を作り出し、その後の大ヒット作品「情熱」にも結び付いていきました。役者に転身する直前であったとはいえ、阿久さんは眩いばかりの光を放った西郷輝彦の1970年代に力を吹き込んだ重鎮でもありました。
数年前のライヴステージでも西郷は「(阿久悠さんとは)随分、長い間、仕事をしていないけれど、また一緒にやりたいな」とコメントしていました。その思いを叶えられなかった西郷の気持は、そのまま阿久悠さんへの深い感謝と鎮魂の心になっているといえます。阿久悠さん…昭和歌謡黄金史そのままの作詞家。そして西郷輝彦にとっては、無我夢中で音楽に明け暮れた一時代の同士、でもありました。
謹んでご冥福をお祈りしたいと思います。
阿久悠さんの西郷輝彦作品は次のとおり。
<1970(昭和45)年>
「真夏のあらし」
作詞 阿久悠 作曲 川口真 編曲 川口真
*第21回NHK紅白歌合戦歌唱曲
「情熱」
作詞 阿久悠 作曲 川口真 編曲 川口真
アルバム「輝かしい未来へ テル!」
1970年7月2日、東京・新宿厚生年金ホールにおけるライヴレコーディング
第3部〜語りと効果音による「真夏のあらし」・物語作
<1971(昭和46)年>
「魅惑」
作詞 阿久悠 作曲 川口真 編曲 川口真
「掠奪」
作詞 阿久悠 作曲 都倉俊一 編曲 都倉俊一
*第22回NHK紅白歌合戦歌唱曲
「愛は燃えているか」
作詞 阿久悠 作曲 都倉俊一 編曲 都倉俊一
<1972(昭和47)年>
「これが愛と決めた」(アルバム「オリジナル'72」)
作詞 阿久悠 作曲 大野克夫 編曲 川口真
「冬の海辺」(アルバム「オリジナル'72」)
作詞 阿久悠 作曲 大野克夫 編曲 川口真
「真実の愛を求めて」
作詞 阿久悠 作曲 川口真 編曲 川口真
*第1回東京音楽祭入賞曲
「愛したいなら今」
作詞 阿久悠 作曲 都倉俊一 編曲 都倉俊一
*第23回NHK紅白歌合戦歌唱曲
「追想」
作詞 阿久悠 作曲 都倉俊一 編曲 都倉俊一
<1989(平成元)年>
「誰がために夜は明ける」
作詞 阿久悠 作曲 西郷輝彦 編曲 川口真 |